4.調査結果の公表

 建築学会が調査結果を学会内外に公表する手段として、速報会,報告会の開催と学会報告書の出版が考えられる。


4.1 速報会・報告会


 速報会は、地震災害に関する最新情報を、専門的な視点から建築学会員及び広く社会に速やかにかつ正確に伝えることを目的に、WGが主体となって、地震発生後1〜2カ月を目途に開催する。これはあくまでも調査結果の速報であり、各調査グルーブの成果報告という正確が強いものである。従って、ここでは被害の全貌をカバーするような必要はなく、最小限調査した部分がまとまっていればよいもので、最終的には学会報告書に吸収されるべきものである。被災地、その他の人々ヘ情報を提供する意味で、東京以外の地域で同様の報告会を開催することも考えられる。時間的な余裕が少ないので、学会内外(付録1参照)に対して速報会の予告を周知徹底する必要がある。速報会の予算は独立採算制を原則とし、速報会出席者からは参加貫費・資料代を微収することも考える。
 また、大半の調査が終了した時点で、必要に応じて、災客調査の総合的な報告会を開催する場合も考えられる。ただし、高度に学術的な被害の分析結果等は学術雑誌に個別に投稿することを原則とし、この他に、建築学会大会時にパネル・ディスカッションまたは特別のセッションを設けて、まとめて発表しても良い。


4.2 学会報告書


 調査活動の大半が終了した時点で、建築学会としての災害調査報告書を編集、出版する。これは、専門的かつ客観的な立場から災害の実態を建築学会員並びに広く社会に伝えるとともに、詳細な災害の記録を後世に伝えることを意図するものである。この意味からも学会報告書の執筆、編集に当たっては、WGメンバー以外からも広く人材を募ることが望ましい、特に国外の場合には、調査に協力した現地の研究者、技術者に原稿の一部を分担してもらうことも考えられる。学会報告書は英文で出版することが理想であるが、これが困難な場合には、英文概要を添付する等の工夫が必要となる学会報告書の出版に係る作業内容と日程の大まかな目安を表4.1に、また、学会報告書の執筆要項と目次の一例を付録7、8に示す。なお、必要に応じて、スライド・ビデオ・写真集を発行することも考えられる。
 学会報告書は建築学会の刊行物であるが、多額の出版経費を要するので、他機関からの補助金を受けられるよう最大限の努力をするものとする。


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