あとがき
震害調査に係わる研究機関や研究者、技術者の数が年々増加する中で、建築学会としての調査活動のあり方が問われるようになってきた。そこで、平成2年6月に当時の耐震連絡委員会の下に地震災害調査検討小委員会(主査:河村壮一、委員:菅野俊介、瀬尾和大、緑川光正、吉田望)が設けられ、平成3年3月には「日本建築学会が派遣する地震災害調査団の結成と活動」と題する中間報告書を公表した。これは、これまでに建築学会が行った地震災害調査の問題点を抽出し、今後の調査活動の基本的な考え方を提示したものである。
これを受けて、今期の小委員会.では平成3年7月からその具体化の作業を行った。したがって、本報告書では建築学会が行う地震災害調査の具体的な手順を簡潔に記述しており、その底に流れる基本的な考え方などは、むしろ中間報告書に詳しく述べられているので、そちらを参照して頂きたい。また、前期および今期の小委員会では、建築学会の地震災害調査に対する会員の意向を把握する目的で、各々アンケート調査を行った。アンケート調査の詳細な分析結果は、本報告書とは別に「別冊」として纏められている。この他に、中間報告書では、地震災害調査に係わる建築学会としての組織上、予算上の改善策が提言されており、今期小委員会ではこれを要望書の形に纏めて、地震災害委員会、耐震連絡小委員会の名前で理事会に提出した(付録9参照)。
地震災害調査検討委員会の活動は、本報告書の提出をもって一応終了することになるが、今後は、地震災害ごとに結成される地震災害調査ワーキンググルーブの多彩な調査活動の経験を踏まえて、建築学会の地震災害調査としてのあるべき姿を、耐震連絡小委員会が中心となって、継続的に検討されることを期待する。また、地震災害の度に調査活動を行っている建築学会以外の学協会との間に連絡窓口を設けるなどして、これらの学協会との協力体勢を増強して行くことも今後の大切な課題であろう。
平成4年3月
地震災害調査検討小委員会