3.調査活動(1)


3.1 国内の場合


 国内地震の場合は、建築学会としての独自の調査団は派遺せず、そのかわりに地震災害調査WGを速やかに設置して、主として地震及び地震災害の情報収集と各種調査団との連絡、調査作業を行う。
 「東京(学会本部)」は、現地の調査活動(調査項目は表3.1参照)が円滑かつ効率的に遂行されるよに、「現地(調査拠点)」に対して適切な人的、物的、金銭的援助を行う,大きな地震災害の発生直後は、現地の関係機関は災害の状況把握・復旧等の対応に忙殺されるため、特に迅速な人的支援を優先して行う。人的支援としては、効率的な調査体制の整備・指導のできる専門家や、場合によっては耐震連絡小委員会あるいはWGの主査を派遣する。物的支援としては表3.2に示すような調査用物品・機材、金銭的支援としては「現地」の運営費などがある。
WGの具体的な活動内容を以下に示す。

(1)各種調査団との連絡・調整
 現地を訪れる調査団の調査目的・規模・日程などを把握するとともに、活動内容・調査結果などの情報を収集し、各種調査団に対してこれらの情報を公平に配布する。
 地震災害が大きく広範囲に及ぶ場合は、単独の調査団がすべての調査を行うことは困難である。このような場合には、WGが各調査団の調査項目や調査地域、調査対象などを必要に応じて調整し、調査の遺漏を最小限に押えるとともに、調査の効率化を図ることが必要となる。ただし、WGによる調整は、各調査団の独自性を尊重し、その活動をむやみに拘束しないように、災害の規模や形態に応じて柔軟に対処するものとする。
 WGが諸調査団の調整役として機能するためには、価値のある情報を迅速に収集し配布することが肝要である。必要な情報が的確に提供されれば、各調査団からは一層の協力が得られ、また各調査団は不要な調査の重複を避けることができる。
(2)対外的な窓口としての役割
 災害規模の大きな地震の場合には、数多くの調査団が現地を訪れることが想定される。これらの調査団の各々が、現地の行政機関や大学等に対して直接連絡を取り、情報収集・調査の協カ要請などを行うことは、当事者に過大な負担を強いることになる。そのため、WGが対外的窓口となり、各種調査団を代表して現地諸機関等より迅速に情報を収集し、得られた情報を各種調査団に公平に配布することとする。
 また、報道機関や一般市民に対して、建築学会員や調査団員が個々に被害原因等について言及することは、いくつもの異なった見解が流布する原因となりかねない。被害原因等について、WGが建築学会としての統一見解を迅速に公表することが必要である。


前のページ  次のページ   Indexに戻る