はじめに
国内外の地震災害に対し、その災害調査の企画、立案、実行、成果報告などに関する建築学会としての取りまとめは、これまで主に耐震連格委員会がその任に当たってきた。平成4年度より、耐震連絡委員会は地震災害委員会と名称が変更になり、地震災害調査に関する従来の業務は、この下部組織である耐震連格小委員会が受け継ぐことになった。
本報告書は、平成2年6月に当時の耐震連絡委員会の中に設けられた地震災害調査検討小委員会での検討結果を基に、建築学会が行う国内外の地震災害調査活動が円滑かつ効率よく実施されるように、その準備から調査結果の公表に至るまでの具体的な手順を提案したものである。
地震災害調査の基本的な考え方は以下の通りである。地震災害調査を円滑に行うために、地震災害が発生する度に、地震災害調査ワーキンググルーブ(以下、WGと呼ぶ)を「耐震連絡小委員会」の下に一時的に設置するものとし、WGは調査の企画、立案から実行、成果報告に至る一連の作業を担当する。WGの設置形態及びその役割は、被災地域が国内か国外かによって、次のように分かれる。
1)国内の場合…耐震連絡小委員会は、当該支部と連絡・調整の上、WGを設置し、大学、
民間企案その他の調査活動を支援する。なお、各調査団の自主性を尊重
して、原則として、建築学会としての調査団は出さず、必要に応じて各
調査団との連絡・支援・調整作業を行う。
2)国外の場合…外国における言語、習慣、生活、調査活動上の障害を考えると、耐震連
絡小委員会が必要に応じて、建築学会としてまとまった調査団を派遣す
るのが効果的である。調査団結成当初は調査団そのものがWGを兼わ、
帰国後は適宜その構成を改めるものとする。
当然のことながら、地震災害の形態は被災地の地域性、災害の規模などにより、災害ごとに異なる。本報告書はあくまでも標準的なケースを想定して、学会として取るべき対応を具体的に例示したに過ぎず、WGが結成された後は、個々の災害の形態に応じて、各WGが独自の判断で柔軟に対応することが望まれる。
平成4年3月
地震災害調査検討小委員会
南忠夫(主査)、入江康隆、江戸宏彰、鹿嶋俊英、
斎見恭平、高橋克也、田村和夫、千葉脩