土学総第04010号
平成16年2月65日
外務省中東アフリカ局長
堂道 秀明 殿
社団法人 土 木 学 会
会長 御巫 清泰
(社)土木学会イラン・バム地震被害調査団派遣に伴う便宜供与依頼について
国外の地震被害調査につきましては、常日頃から、迅速かつ円滑な被害調査のためのご便宜を賜り、誠にありがとうございます。
(社)土木学会は、土木に関わる全ての分野、さらに学、官、民にわたる約4万2千人の会員によって構成された長い伝統をもった学術団体です。本学会では、土木工学は市民の文化発展のための工学であり、人間社会を効果的に機能できるようにしていくための工学であるとの認識のもとに、会員相互の研鑽を図る一方、関連学協会とも連携を取り合いながら、国民生活におけるアメニティの向上、安全性の確保、文化・福祉の促進等に努力し、さらに豊かで質の高い国土づくりを目指して幅広い活動を行っております。大規模災害調査も本学会の活動の一つであり、諸外国の関連学会や研究機関との協力のもとに、1999年のトルコや台湾の大地震、2001年のエルサルバドルやインド西部の地震、2002年のイラン西部の地震を始め、数多くの被害調査を行い、その調査・研究の成果を被災国に還元してきました。
さて、2003年12月26日にイラン南東部バム市付近で発生した地震では、マグニチュードが6.5とさほどの規模ではないにもかかわらず、直下地震ということで強烈な水平動および上下動に襲われ、甚大な人的、物的被害がもたらされました。犠牲者は3万人を既に越え、4万人を大きく越えるとも言われています。進んだ耐震基準の存在するイランで、なぜこれほど多くの被害が生じたのか、わが国の事例と比較しながら現地の研究者と意見交換することは、イラン、日本両国にとどまらず、世界中の地震国にとっても貴重な情報を与えるものと考えます。
(社)土木学会としても、日本の土木分野における地震災害に対する調査と、地震被害に対するこれまでの対応の経験を生かし、イラン国被災地の今後の復旧・復興に貢献するとともに、イラン国および広く社会に有用な情報を提供することを目的として、被災状況を専門的な見地から正確に把握するための被害調査団の派遣を行うことになりました。なお、関連するより広範な分野の情報をも補うため日本地震工学会、日本建築学会の調査団などとも連携を取り調査を進めていくことになります。
つきましては、現地での情報提供と便宜をお図り頂きたく、ここにお願い申し上げる次第です。
日本建築学会イラン・バム地震被害調査団派遣について
平成16年2月22日
日本建築学会災害委員会
記
1. 調査目的:
イラン国被災地の今後の復旧・復興に貢献するとともに、イラン国および広く社会に有用な情報と今後の地震工学の発展に役立つ資料と提供することを目的として、主に土木建築構造物を中心とした被害調査を行う行います。帰国後、調査に基づいた英文報告書を作成し、カウンターパート(International Institute of Earthquake Engineering and Seismology,
Teheran University)を通してイラン国へ調査結果を還元するとともに、今後の共同研究を視野に入れた協力を継続する予定です。なお、本調査は文部科学省突発災害調査研究(代表:九州大学 鈴木貞臣教授)、日本地震工学会調査団(団長:東京大学 小長井一男教授)、土木学会調査団(団長:金沢大学 宮島昌克教授)と合同で行われます。
2.
調査期間:平成16年2月1523日(日月)〜〜 32月264日(木)
3.
調査団員:97名
団 長:源栄正人宮島昌克(東北大学災害制御研究センター教授金沢大学土木建設工学科教授:ライフライン、地震動と被害)(A班)
副団長:目黒公郎(東京大学生産技術研究所助教授:緊急対応、動的破壊)(B班)
団 員:伯野元彦久田嘉章(攻玉社工科短期大学学長工学院大学建築学科教授:地震動と被害被害分布)(B)
前田匡樹幸左賢二(東北大学工学部都市・建築学専攻助九州工業大学建設社会工学科教授:建物被害調査コンクリート構造)(BA)
大野晋飛田哲男(東北大学災害制御研究センター京都大学防災研究所 助手:地震動と被害サイト特性、地盤被害)(A)
真田靖士吉村美保(東京大学地震研究所災害部門助手東京大学生産技術研究所研究員助手:建物被害調査復興政策、組積造)(B)
Ali Niousha高島正典(東京大学生産技術研究所研究員鹿島建設主任研究員:建物被害調査GIS、リモートセンシング)(BA)
FALLAHI Abdolhossein(金沢大学大学院博士課程3年:地盤震動)(A)
MAYORCA Paola柴山明寛(工学院大学建築学科大学院博士課程東京大学生産技術研究所研究員:地震動と被害組積造、耐震補強)(B)
本調査団とは別に、下記の研究者に日本建築学会調査団として協力を頂いております。
・神戸大学調査団(平成16年1月24日〜2月4日)
北後明彦(神戸大学助教授:救助活動と国際協力・復興計画)
・イラン側による調査団(平成16年1月18日〜2月13日)
M. Hossein(東京大学地震研究所大学院博士課程:建物被害調査)
4.
日程および調査対象地:
2月23日(月) A・B班成田空港15:30発(IR801) → Tehran
23:10着
2月24日(火) 午前IIEES、午後BHRCにてブリーフィング、夕方 タービドモダガス大学訪問
2月25日(水) Tehran 10:00発(IR472) → Kerman 11:25着、Kerman → Bam(車)
Bamを中心とした現地被害調査(A班は28日、B班29日まで)
2月28日(土) A班Kerman 12:10発(IR473) → Tehran 13:35着
2月29日(日) A班Tehran 19:55発(IR800)
3月01日(月) A班成田空港 12:55着、B班Kerman 12:10発(IR473) → Tehran 13:35着
3月02日(火) B班IIEESにてワークショップ
3月03日(水) B班Tehran 19:55発(IR800)
3月04日(木) B班成田空港 12:55着
注:IIEES(International
Institute of Earthquake Engineering and Seismology)
BHRC(Building and
Housing Research Center)日程および希望調査対象地(案):
2月15日(日) A班関西空港発(LH741) 10:20(フランクフルト経由)
2月16日(月) Tehran着(LH600) 1:25
日本大使館表敬訪問
IIEESにてブリーフィング
B班成田空港発(IR801) 15:30
Tehran着 23:10
2月17日(火) Tehran発(IR472) 10:00
Kerman着 11:25
Kerman〜Bam(車)
Bamを中心とした現地被害調査(22日まで)
2月23日(月) Kerman発(IR473) 12:10
Tehran着 13:35
Tehran大学訪問
2月24日(火) A班Tehran発(LH601) 3:00(フランクフルト経由)
B班IIEESにてワークショップ
2月25日(水) A班関西空港着(LH740) 8:35
B班Tehran発(IR800) 19:50
2月26日(木) B班成田空港着 12:55
5.
イラン国内カウンターパート:
International
Institute of Earthquake Engineering and Seismology 、 Ashtiany所長
6.現地での被害収集情報の公開について
現地での被害収集情報を、衛星携帯を用いて日本のサーバに転送し、試験的に公開する予定です(2月25日から)
テヘラン大学工学部土木工学科主任 Ghalandazadeh博士
http://sisasc.informatix.co.jp/iran/
ご覧になり、ご意見などがありましたらページにある掲示板にご記入頂けると幸いです。
依頼事項:
(1)調査に先立ち、在イラン日本大使館を表敬訪問させて頂いた上で、調査の目的などご説明申し上げたうえで、被災地の状況などに関してご説明をいただければ幸甚です。併せて、
(1)(2)調査上必要と判断される場合、現地関係機関への協力要請などに関するご助言などいただければありがたく存じます。
期日:2月16日(月) 午後のご都合の良い時間帯
面談者:団長 宮島昌克
以上、2項目よろしくお願い申し上げます。
連絡先:
宮島昌克 Masakatsu
Miyajima
金沢大学工学部 教授
〒920-8667 金沢市小立野2-40-20
Tel:076-234-4656、Fax:076-234-4644
E-mail: Miyajima@t.kanazawa-u.ac.jp
以上