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<コロンビア地震>仮設住宅が何より必要 国際社会の支援訴える(毎日新聞)

 

 コロンビアを襲った大地震の発生から3日後に被災地アルメニアに入った東京都文京区の貿易会社社長、福田裕之さん(45)が帰国し、生々しい被害の様子を毎日新聞に語った。「食料など政府の援助物資は早い者勝ちという状況で『無政府状態』のよう。貧困層の住む南部は家をなくした被災民であふれ、雨露をしのげる仮設住宅が何より必要だ」と、福田さんは国際社会の支援を訴えている。

 福田さんは昨年12月、コロンビア人の妻マリエラ・フクダさん(29)と一緒に中米に出張。震災当日の先月25日は、福田さんはキューバに、マリエラさんは実家のあるアルメニアにいた。翌26日、妻からの国際電話で連絡がつき、福田さんは米マイアミなどを経由して28日にアルメニアに入った。

 コーヒーの集散地として急速に都市化したアルメニアだが、福田さんが目にした町の風景は一変していた。町の中心部のビルというビルは倒壊し、銀行や宝石店、薬局などは根こそぎ強盗団に襲われていた。日が暮れると数十人単位で武装した強盗団が出没するため、住民は外に出られず不安な夜を過ごしていた。また家族を亡くした子供や女性が空き地に設けた、ビニールを張っただけの粗末なテントで暮らしていた。

 「妻の実家も震災で家が倒壊し、避難生活をしていた。妻はショックで放心状態で、強盗団の恐怖から服はわざとボロボロのものを着て、パスポートを腹に隠し持っていた」と福田さんは話す。夫妻は今月1日に帰国した。

 福田さんは「伝染病のまん延など2次災害は間違いなく起こると思う。貧富の差が激しい国だけに、このまま世界から見捨てられたら被災地の復興は何十年かかるか分からない。一刻も早い支援が必要です」と話している。 【城倉 由光】

[毎日新聞2月3日] ( 1999-02-03-10:31 )